http://www.motorcyclenews.com/mcn/news/newsresults/new-bikes/2014/november/milan-show-210bhp-ninja-h2-road-bike-revealed/
ミラノでは、もう一つ目玉と言えるのが
カワサキNinja H2の公道バージョン。
サーキットバージョンが300馬力だったのに比べ、
公道バージョンは200馬力/11,000rpm(ラムエアなし)
ラムエア有りでは210馬力
トルクも98.461lbp・ft/9,500rpmで
SI単位に直すと133.5Nm/9,500rpm。
これはZX-14Rの162.5Nm/7,500rpm
よりも劣る。
引用元の記事によると車両重量が238kgしかない
からすごいんだ!とあるけれど、
268kgのZX-14Rと比べて
トルクウェイトレシオを比べると
Ninja H2 238÷133.5=1.78
ZX-14R 268÷162.5=1.65
となり、やはり8%ほど負けている。
人間が感じるトルクは
トルクの絶対値だけではなく
トルクカーブ次第で変わるので
最大トルクの比較だけでは
なんともいえないが、
ここまでのところを大雑把にまとめると
「性能的には、おおよそZX-14Rと同じ
ただし30kgほど軽量」
だと思えばよいだろう。
セッティングをいじって
サーキット仕様のNinja H2Rに
変更しようとしても
カムが変わっていたりするので
ちょっといじれば300馬力!
とはいかない。
思ったほどにはパワーがない理由を探して
エンジンの仕様を見てみたら、
なんと圧縮比が8.5しかない!
ちなみにZX-14Rの圧縮比は12.3、
ZX-10Rに至っては13.0もある。
昨今の四輪における過給エンジンは、
直噴にすることで、圧縮比をあまり下げずに
燃費向上を図っているのに対し、
そういう技術のなかった80年代の過給エンジンは
ノッキングを避けるため、圧縮比を下げていた。
80年代のターボエンジンが
見た目の派手派手しさと別に
思ったほどハイパワーでなかったのも
圧縮比が低かったため。
Ninja H2のエンジンは
21世紀に出現した過給エンジンなので
当然、直噴なのだろうと思っていたが
エンジンの写真を見てみると
たしかに、普通のエンジンにしか見えない。
オイラの見立てが正しかったとしたら、
カワサキはなぜ直噴にしなかったのだろう?
ベースにしたZX-10Rのエンジンに
単に過給器をつけただけの
やっつけ仕事だったのか?
以前、正味平均有効圧の話をしたが、
↓ ↓
KTMの390Dukeのエンジンはどういう性格なのか??(正味平均有効圧の話)
ここでNinja H2とZX-14Rのエンジンを
正味平均有効圧で比べてみよう。
最大トルク発生点での
正味平均有効圧を見てみると
ZX-14R = 1.42Mpa
NInja H2 = 1.68MPa
過給しているからさすがに高いが、
比べてみると、差は19%しかない。
これを、以前やったように
「正味平均有効圧÷圧縮比」の計算をすると
ZX-14R = 0.115
NInja H2 = 0.198。
ZX-14Rが0.1前後なのは
通常のエンジンとして普通の値だが
Ninja H2は過給のおかげで
0.2近い数字になっている。
これから定性的に言えることとしては
Ninja H2は、過給のおかげで、
ZX-14Rの二倍近い出力を得られるはずが、
ノッキングを避ける目的で
圧縮比を大幅に下げているために、
実際の出力はさほど違いがない。
何をしたって、パワーが出てりゃいいじゃないか
と言われそうだが、
こういうこと(=ごまかし)をすると
燃費(=熱効率)という点では最悪になる。
おそらく、Ninja H2は
とんでもないガス食い車で出てくるはずだ。
なので、どうせ購入するのであれば、
公道バージョンのH2ではなく
サーキット仕様のH2Rを購入し、
300馬力で周囲のリッターSSをブチ抜いていた方が
いろいろ満足できるのではなかろうか。
7 件のコメント:
H2のオーダーしたけど、やはりdirect injectionにしなかった点は気になります。
Mechanical super chargerとの相性、あるいは何か技術的に困難な点があるとか?
Turbo chargerで直噴は4輪では普通にあるし。
ポート噴射にするとインレットポートが冷却できるとか言ってるけど、大きなメリットには思えないし。
この点は何か合点がいきません。
コメントありがとうございます。
詳細は分かりかねますが、
メーカーには何らかの事情があったのでしょう。
何にせよ、加速感はNAとは違うので
そこを楽しめれば、H2、良いバイクではないでしょうか。
H2とH2Rは、馬力が200馬力と300馬力という違いだけではなく、トルクから何から全くの別物ですので、性能的には別のバイクと考えるべきです。H2Rは非常に短期間のエンジンOHが推奨されており、公道での走行には事実上耐えらない、とカワサキは考えたと思われます。それゆえ、H2のオーナーがH2Rのパーツを購入できないようになっているのでしょう。
ブログ主さんの考察・比較をもとに本日H2Rをオーダーさせて頂きました。
おそらくこれから先もサーキット専用車になってしまうとは思いますが、思い切り楽しんでいきたいと思っています。
このような有意義で貴重な情報を提供して頂き、有難うございました!おかげで踏ん切りがついたのですから。
ご訪問ありがとうございます。
H2R、サーキットでは楽しいだろうと思います。
お楽しみください。
どうやら変なサイトにURLが載ってしまったようで、
荒らしと思われる書き込みや、
人の文章をほとんど読まずに、脊髄反射的に書きなぐった書き込み
が、増えました。一々相手するのも疲れるので、その手の書き込みは
すべて削除しました。
変なサイトのURLは、まだ有効みたいです。
いいかげん、そいつが消えてくれると、
前のように自由にコメント書き込めるようにしてもよいのですが、
荒らしとか頓珍漢なコメント対策にはしかたありません。
もうしばらくお待ちください。
コメントを投稿