2015年12月14日月曜日

ミシュラン・MotoGPの変化・素人のライディング

MotoGPに戻ってきたミシュランへのインタビューが
MotoMattersに載っています。
↓    ↓
https://goo.gl/0ISeGr

この中で、ミシュラン不在の間に起こった変化として
出口加速重視から、コーナーの突っ込み重視に
ライディングスタイルが変化していることについて
触れられています。

そもそも、後輪重視から前輪重視への変化は
かなり昔からの流れであるといえます。

グランプリモーターサイクル(上図)によると、
バイクの重心位置が注目されるようになったのは
かなり古い話で、1950年代のGP500のころです。

当時、多気筒ハイパワーのイタリア車は
パワーを受け止めるために後輪荷重重視
つまり後輪寄りの重心位置で設計されていました。

しかし、このせいで、コーナー立ち上がりで
ひどいアンダーステアに悩まされ、
単気筒のイギリス車に敗れることになります。

イギリスのメーカーは、かなり早いうちに
「ハイパワー車ほど前輪寄りの重心を!」
ということを掴んでおり、これが
GP500初期のイギリス車の競争力の源でした。

後から考えれば当然の話ですが、
ハイパワー車の全開加速時には
静的重心に対し動的重心はかなり後方に移動します。

このため、後輪寄りの重心のままでは、
加速時に前輪荷重が極端に減少してしまい
結果として、アクセルを開けられなくなるわけです。

まあ、前輪を邪魔だと考えてるような
フレディ・スペンサーなんて人もいましたが
ああいう天才のことは放っておきましょう。(笑)

当時よりはるかに高出力化した現在のバイクでは、
前輪荷重の重視はもはや常識といえます。

高まった前輪荷重を有効に利用するため、
コーナリング技術も変化していきました。

80年代以降のラジアルタイヤの進歩が
これに拍車をかけます。

昨今のMotoGPにおけるブリヂストンタイヤは
この流れに従い、猛烈なグリップを発揮する前輪を用意し
それがマルケスの超絶ブレーキングをもたらしました。

しかし、2015年のMotoGPの結果は
前輪依存のコーナリングでは
少しでも計算が狂ってしまうと、
天才マルケスといえど転倒しまくる
ということを改めて示しました。

ブレーキングを詰めたり、コーナリング速度を上げるのは
簡単に頑張った気になれるので、充実感はすぐに得られますが、
タイムはあまり上がらないうえに、転倒の危険だけが増える、
という意味で、ド素人が手を出してはいけない領域。

そんなことよりも、出口加速を高めて
ストレートでタイムを稼ぐ方が
危険性も低いし、タイムアップも容易です。

ライディングスクールに行くと
コーナー中の最低速度は先生が一番低い、
なんてことさえあります。

にも関わらず、タイムは先生がぶっちぎり。
何故なのかは言わずもがなです。

・・・ま、かくいうオイラも、
浅川さんから指摘されるまで
気が付きませんでしたが f^^;;)

このあたりについて、同じようなことを書いているのが
以下のサイトです。

4.転ばないで速くなるには

  「まず加速を頑張る、次にコーナリング速度を上げる、
  それでもいよいよって感じになってきたらブレーキ頑張る」

サーキットを速く走る 2章

  「コーナーの進入速度を上げて、タイムを稼ごうとする場合、
  必然的にフロントタイヤへの負荷が大きくなるわけですが
  フロントタイヤが滑ってしまうと
  ライダーは積極的にマシンコントロールをできなくなります。
  (中略)一方、コーナーの脱出速度を上げてタイムを稼ごうとする場合、
  リアタイヤへの負荷が大きくなる傾向がありますが
  リアタイヤのスライドと言うものは、
  ライダーの意思(スロットルワーク等)でコントロールできるものなので
  (中略)マシンを大きく失速させずに済みます。」

もちろん「俺は転倒なんか恐れない!」とか、
「別に速くなくてもいい。俺って頑張ってる!
と自己満足できればそれで良い!」
というなら、そりゃ止めはしませんし、
立ち上がりは詰め切った、という上級者は
オイラのブログなんて読んでないで、ご自由に。(笑)

そういう意味で、ロレンソやマルケスが
フロントグリップに乏しいミシュランタイヤに
どのように適応していくのか注目しています。

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