2013年5月13日月曜日

CB1100、スポーツデーモンVインプレ(その2)

今回のCB1100のように、ラジアルからバイアス
もしくはバイアスからラジアル、というのは
今まであまり経験がないので、ちょっと調べたり考えてみた。


ラジアルとバイアスって、そもそも何が違うのか。
これはいろんな本やサイトに紹介されている通り
タイヤのカーカスの違いにある。

カーカスはタイヤを支える骨格にあたり、
ポリエステル、ナイロン、レーヨンなどの繊維で構成されており、
タイヤ剛性の多くがこれによって決まってしまう。

カーカスがタイヤの回転方向に対して垂直に張られているのがラジアル、
斜めに二枚以上重ねてバッテン状になっているのがバイアスである。
(図はタイヤメーカーのサイトなどを参照)

カーカスは繊維と平行方向の引っ張る力には強いが、
横方向への力と平行でも押す方向の力には弱い。

バイアスの場合、複数のカーカスをバッテン状にしているので
これで全方向への剛性を確保している。

ラジアルは、このままではタイヤの剛性は全く出ないので、
トレッド面を、スチールで出来たベルトという層で固めている。

ベルトに類するものは、バイアスタイヤにもあり、
ブレーカーと言われているが、
ベルトがカーカスを桶のタガのように強く締め付けて
トレッドの剛性を高める働きをしているのに対し、
ブレーカーは、路面からの衝撃緩和や、外傷からのカーカス保護、
トレッドとカーカスの剥離防止の役目をしている。
似たようなものでも、役割はかなり違う。

この結果、何が起きるか。
まず、ラジアルの場合、ベルトで強化されたトレッド部は強いが
サイドウォールはヘナヘナである。
でも、そのおかげで、ショックを主にサイドウォールが受け止め
トレッド面の変形を最小限にしてくれる。

一方のバイアスは、トレッド面とサイドウォールの
剛性があまり違わないため、ショックを受けた場合に、
タイヤ全体が、つまりトレッド面までも変形してしまう。

トレッド面が変形しやすいということは
発熱しやすい→寿命にマイナス ということ。
これを防ごうとして硬いゴムを使えば、
今度はグリップ力が悪化してしまう。
すなわち「寿命」と「グリップ」の両立が困難。

さらに、トレッドの変形=転がり抵抗 なので
燃費にもマイナス。

また、高速走行時には、遠心力により
トレッド面の変形が大きくなりすぎ、
高速性能も悪化。

またトレッド部がねじれるように変形してしまうので
スライドコントロールも困難。

現在のMotoGPなどでは、
華麗なスライドコントロールが見られるが、
レース用タイヤがバイアスタイヤだったら
一部の天才を除いて、あんなことはできないかもしれない。

最後のトドメとして、カーカスが複数重なっているので、
バイアスタイヤは重い。

一方、バイアスのメリットというと、
まず第一に生産コストの安さ、
それに、バイアスの方がカーカスが長い分
柔軟に曲がり易くクッション性がよく、
乗り心地は良くなる。

昔の貧弱なサスペンションの車両だと
ラジアルタイヤじゃ、とても乗れなかったらしい。

また、アメリカンなどの重量車では、
その重さを支えるために
硬いサイドウォールを持つバイアスが有利。
(四輪の場合、大型トラック用としては
今でもバイアスが主流らしい)

また発熱しやすいということは
低温時や雨天時には、逆にメリットにもなりうる。
(もちろん、ラジアルの方がタイヤのコンパウンドを
自由に設計しやすいので、そこまで考慮すると、
この関係は逆転する可能性もある。)

それと、どちらが良いかは別にして乗り味も違う。
同じプロファイルのタイヤで比較した場合、
ラジアルはサイドウォールがたわむ時間があることで、
バイアスよりバンクが鈍くなる傾向にある。

特に高プロファイル・ラジアルタイヤの場合、
サイドウォールが変形しすぎて
バンクの妨げになる、なんてこともありうる。
当初、「ラジアルタイヤはバイクには不向き」
と言われたのも、これが原因だった。

今でも、バイアスのシャープな乗り味を好むライダーも、
数は少ないながら存在する。

さて、以上はあくまで一般論。

・・・・・というところで、CB1100の話に戻るけど

ピレリのスポーツデーモンVが
①乗り心地が良い
②バンク速度が速い
というのは、バイアスの特徴そのまま。

絶対的グリップや高速性能、
それにスライドコントロールは
CB1100では確かめる場面はなさそうだし、
タイヤが重い、というのは
スポーツバイクには大きな欠点だが、
ゆったり走らせるCB1100の場合、
デメリットではなく、むしろメリットとさえ言える。

なので、残る懸念は燃費と耐久性、
ということになる。

それと、前輪の摩耗が進んだ場合の
ハンドリングの変化も要注意項目。

どちらも、これから乗っていきながら
確かめることになると思う。

ちょっと計算してみたら
タイヤ寿命が同じだとした場合、
燃費が1割悪くなったとしても
タイヤ代が安い分でペイしてしまうことになる。

まだ燃費データもあまりないが、
今のところ、目立って悪くなってはいない。

そんなわけで、「CB1100に純正以外のタイヤ」
については、今後に注目です。

6 件のコメント:

チビ太 さんのコメント...

こんばんは
いつも楽しく拝見させて頂いております

私もCBに乗ってますが、18インチとはいえバンクスピードがかなり遅いなと思っておりました
ラジアルタイヤの影響もあったのですね...

18インチで扁平してないタイヤなので、浅いバンク角でキビキビ旋回できればと
そんなのがCBにはあっているのではないかと思いますので、
今度、タイヤが減ったらまずは雑誌でおすすめしないと言われているBT45を履いてみようかなと思っております

mos さんのコメント...

>チビ太様
コメント有難うございます。おそらく純正タイヤは、ラジアルタイヤということの他に、意図的にバンクを遅くしている可能性もあります。ホンダとしては、その方がCB1100の特性に合っている、と考えているのでしょう。(開発者のコメントを見ると、「のんびり走る特性」を作りこむのに試行錯誤した、とあります。)

そういう点では、BT45でも似たような変化になる可能性はあると思います。(オイラはBT45を試したことはありませんが)

チビ太 さんのコメント...

mosさま

返信ありがとうございます
前に横浜に住んでまして、浅川スピードでメンテを一度はお願いしたいと思ってましたが、ついに叶わぬまま千葉に引越しとなりました

浅川さんのメンテした車両は気持ち良さそうですね

さて、バイアスにして空気圧は標準のままお使いでしょうか?
もしよろしければ教えていただけないでしょうか?

mos さんのコメント...

ちび太様
不在にしていたので、返信が遅くなりました。

とりあえず、標準のまま乗っています。
ただし、リヤを2.5kgfまで下げても良さそうです。
(そちらのほうが乗り心地は良くなります)

チビ太 さんのコメント...

mosさま
こんばんは
返信ありがとうございます
CBはゆっくりとですが、自分のレベルではよく曲がるので、前後18インチの乗りかたと言いますか、コツみたいなのを忘れたしまいました
このバイクは流石にホンダが作っただけあって、前後のショックをいじればいじっただけ変化があって楽しいです
バイアスタイヤも含めてまだまだタップリ楽しめそうです
空気圧の設定ありがとうございましたm(_ _)m
元がラジアルなので、バイアスにしたら少しは低くするのかな?
でも、似たような重量のバイアス設定のカワサキでほ前後2.5くらいなので、それくらいなのかなと
Webで調べて見たりしてました
とても参考になるアドバイス
ありがとうございました
さて
話は変わりますが
コンデンサーチューンなるものがあります
体感できた人できない人
肯定的な人、そうでない人
反応は様々です
私は体感できたと思ってます
適当な容量のを付けると良くも悪くも特性は変わるようです
お金もかかりませんし
ぜひ一度お試しあれ
それでは失礼します

mos さんのコメント...

チビ太様
バイアスタイヤの場合、ラジアルに比べて空気圧の適正ゾーンが
狭くないので、もしバイアスタイヤを選ばれた場合は、
ある程度、好みに合わせていじってみることができるのが
良いところだと思います。

さて、コンデンサーチューンですが、
一応、DucatiのSSに、市販の各車種対応品
という奴を取り付けてテストしてみたことはありますが、
正直なことろ、私はどちらかというと否定的です。

理由は、バッテリーを比較的頻繁に充電していれば
同様または場合によるとそれ以上の効果が見られるからです。

にも関わらず、車種対応品は高価ですし
自分で試す場合は、最適値を求めて
トライアンドエラーが必要になります。

もし、フル充電が可能な充電器をお持ちであれば、
(「フル充電が可能」というのが大事です)
一度比較してみることをお勧めします。

それでは。