某所で気になる話を聞いたので
今日は、その問題にコメントしておきます。
「ハイオクは燃えにくい燃料だから
レギュラー車に入れると問題が起きる。」
はい、真 っ 赤 な 嘘 です。
こう思っている人は「燃焼」
という現象を、安易に考えすぎています。
たとえば・・・・
問題:ろうそくの炎は赤いのに、ガスコンロの炎はなぜ青いの?
そんなの簡単さ、炎の温度が違うからだろ。
・・・・半分正解。
では、なぜ炎の温度が違うのでしょう?
そして、なぜ温度が違うと色が違うのでしょう?
ろうそくの赤い炎は、炎の中のすすが
発光しているものです。
ろうそくは、不完全燃焼に近い状態で
燃えていますので、ろうが燃え切らず
すすになってしまいます。
不完全燃焼に近いので、
当然、温度も上がりません。
一方、ガスコンロの炎は
OH、CH、C2ラジカルの発光が強く
そのせいで青から近紫外の色をしています。
つまり色が違うのは、
炎の中に存在する物質が違うため。
同じ「炎」ですが、
中で起きている反応は
けっこう違います。
ここでキーポイントになるのは
燃料と酸素が充分に混ざっているかどうかですが、
その他にも、温度によって
「低温酸化反応」
「中温酸化反応」
という二通りの反応機構があります。
両者は似ているようで違っていて
片方の反応機構で燃えやすいからといって
もう片方でもそうだとは言い切れません。
さて、ここらで準備運動は終わって
いよいよエンジンの話。
ノッキングという現象は
エンジン内部で
高温・高圧にさらされた燃料が
自己着火を起こすために起きます。
その時の温度はせいぜい数百度で
この温度はまだ「低温酸化反応」
の領域です。
一方、プラグの火花は
そのエネルギーを温度換算すると
数千度にも及び、こちらは
いきなり「中温酸化反応」が
起こり始めるレベルになります。
さて・・・・ということで
カンの良い人は
もう分かったと思いますが
オクタン価(特に品確法で定められている
リサーチオクタン価)というのは
「低温酸化反応」が起こりやすいかどうか
の指標です。
一方、プラグによる燃焼は
「中温酸化反応」によるものです。
両者は必ずしも一致しない
とは前にも書いた通り。
実際、最近のエンジン研究論文で
「オクタン価を同じにして
燃えやすい燃料と燃えにくい燃料を
用意しました。
燃えやすい燃料の方が
より燃料が薄くても燃えました。
なので、リーンバーンエンジンには
ぜひ燃えやすい燃料を!」
というものがありました。
オクタン価が同じなのに
燃えやすい燃料と
燃えにくい燃料があるの??
なんてことは、ここまでの説明を読めば
もう言いませんよね。
ということなので、
オクタン価 ≠ プラグ点火時の燃えにくさの指標
ということは理解してください。
両者は同じではありません。
プラグで点火した時の燃えやすさは
オクタン価とは別の要素で決まります。
レギュラーとハイオクの燃えやすさは
日本全国、作ってる製油所、
時期などで様々ですが、
一つ言えるのは
レギュラーの方が燃えやすいとか
ハイオクの方が燃えやすい、とか
そういう傾向はありません。
何故かと言えば、
国内のガソリンには
品確法という法律があって
一定レベルの性能が
確保されているからです。
国内に限れば、
ガソリンの差をあれこれと
気にするヒマがあるなら、
プラグの劣化のほうが
よほど大きく効いてきますので、
こっちを気にしましょう。
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