バイオエタノール革新技術研究組合
というものが、今年、ひっそりと幕を閉じた。
バイオエタノール革新技術研究組合とはなにか
については、下のサイトに紹介がある。
↓ ↓
http://www.nedo.go.jp/content/100513589.pdf
JX(ENEOS)、三菱重工、トヨタ自動車、鹿島建設、
サッポロ、東レの6社が共同で、草から燃料エタノールを作ろう
というものだった。
草からエタノールを作るのは、そんなに難しい話ではない。
草食動物が、胃の中でやっているように
草のセルロースを分解する酵素を働かせれば
草からブドウ糖ができて、あとは酒を造るのと同じで
ブドウ糖→エタノールと製造できる。
だが、問題は価格。現在、ガソリン価格は
リッター160円超えだが、このうち約60円は税金。
つまり本当の価格はせいぜいリッター100円で
ペットボトルの水より安い。
(しかも100円のうち、70円くらいは原油価格なので
我々は160円のうち、70円を中東に、60円を国に払っている。)
こんな価格で草からエタノールを作るのは
現在の技術ではかなり厳しく、上記の研究組合は
いかにコストを下げるか、を研究の中心課題においていた。
だが、結局、この研究組合は決められた期間中に
目標とするコストまで製造コストを下げられずに
解散することになった。
この結果、政府内でバイオ燃料導入の動きは
大きくトーンダウンしている。
が・・・・ここで、さっきの6社の中身を見てほしい。
「サッポロ」という会社に見覚えはないだろうか?
そう、サッポロビールのサッポロである。
バイオ燃料としては到底コスト的に見合わなかったが
食糧としてのブドウ糖やアルコールなら
もう少しコスト目標を緩くしても大丈夫である。
おそらく、今後、草から作った糖でお菓子を作ったり
その糖からでんぷんを合成して食糧を造ったり、
草から作ったアルコールで酒を造ったり
・・・という動きが始まるはずだ。
「草から食糧~?」と思うかもしれないが、
実際にやっていることといえば、何千万年も前から
草食動物が胃の中で行っていることを再現しているだけ。
遺伝子組み換え食品なんかよりもずっと安心である。
これからは穀物が育たない荒れ地で育った草から
食物が作られる研究が進んでいくはずで、
無理にバイオ燃料開発!なんていうよりも
短・中期的にはよほど人類のためになるはずだ。
そして、食糧のために草を分解する産業が育てば
やがてはバイオ燃料に応用できるくらい
コストも下がるはずである。
国はこの辺の技術・産業についての基本的なセンスが欠けているが
研究組合にサッポロが参加していたことで、
このシナリオは、これから実現に向けて進んでいくだろう。
そんなわけで、バイオエタノール燃料の実現は
食糧分野でこの技術が実用化された後になるだろうから
ガソリンにかわりエタノールが燃料の主役になるのは
かなり先のことになるはずだ。
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