バイカーズステーションのF2.5R2.9理論は
いまでも時々ネットで話題になっている。
以前、ドカSSで少しだけ試したこともある。
その後もいろいろ考えることがあったので
今日はF2.5R2.9の問題点を自分なりにまとめてみた。
もちろん、F2.5R2.9にもメリットはある。
メリットとデメリットを比べて、
その結果この空気圧にするならともかく
何も知らずにF2.5R2.9にするのは、
いざというときに問題だと思う。
オンロードタイヤの場合、タイヤがグリップするのは
凝着摩擦とヒステリシス摩擦の二つがある。
物理的な説明は、他のサイトや本に譲るが、
我々ド素人が知っていないといけないのは、
・凝着摩擦はタイヤが少し変形したほうが効果は高くなるし、
・ヒステリシス摩擦についてはそもそもタイヤが変形し、
滑り(というかビビリ?)が発生する状況でないと
発生しようがない、
ということ。
この2つは、最大になるポイントも違っていて、
凝集摩擦は、比較的わずかに変形した時に最大となるのに対し、
ヒステリシス摩擦の方は、
もう少し大きく変形し、滑りが大きくなった時に最大となる。
乗っている人間から見ると、
初期の食いつき感に関係するのが凝集摩擦で、
滑った時のコントロール性に関係するのが
ヒステリシス摩擦、ということになる。
安全のためにはどちらが大事かというと
もちろん、ヒステリシス摩擦である。
ヒステリシス摩擦は、タイヤが変形しないと
発生しないので、タイヤの空気圧を上げすぎると
変形を阻害し、ヒステリシス摩擦が減って、
限界領域のコントロールが難しくなる。
もちろん、空気圧を下げすぎると
今度はタイヤ全体が腰砕けになって
グリップどころではなくなるので
下げれば下げるほどよい、というわけではない。
空気圧を上げると燃費が良くなる
というのも、タイヤの変形が関係する。
タイヤを変形させるのは、エンジンパワーなので
空気圧を上げ、タイヤの変形を減らせば、
それだけロスが減るという理屈だ。
また、バンクするときにも
ライダーが行う操作の力の一部が
変形ロスに使われてしまい、そのせいで、
バンクの動きを重くする。
空気圧が増えれば、軽くバンクさせられるのは
ヒステリシスによるロスが減ったから。
空気圧というのは低くても高くても良くない。
にもかかわらず、業界団体などが
空気圧が低い方の弊害を強く言うのは、
LI値(ロードインデックス)がある。
空気圧が下がると、一般にLI値が下がる。
LIというのは、タイヤが支えられる重さの目安で
空気圧をどんどん下げていくと、
ついにはタイヤが車両の重さを支えられなくなってしまい、
大事故につながることになる。
それに、一般ユーザーは空気圧をチェックしないので
一般の車両の場合、低い空気圧のまま走っていることが多い。
このため、メーカーや業界団体は
空気圧が低すぎる弊害を訴えていると考えられる。
さて、ここまでは前置き。
CB1100を買ってからというもの、空気圧は
メーカー指示の通り、F2.5R2.9にしている。
以前に書いた通り、CB1100では
ゆっくり走るのが目的だし、
空気圧は高い方が燃費には良いし、
タイヤの減り方を見ても、段減りもしていない。
が、しかし、この空気圧は
いったん何かあった時には怖い。
何が怖いって、滑った時に一瞬でスパッといってしまう。
たとえば、純正タイヤのときの、
前輪を持たせるためにリヤ主体でブレーキングしていた時や
雨天時にちょっと強めのブレーキングをしたとき
ドカでサーキット走っているときのような
「ズリズリ・・・」と来る感じがなく
いきなりスパッと流れ出す。
いずれもブレーキをすぐに離したので
そのまま転倒することもなく済んだが
どう見ても、ヒステリシスロス不足だと思う。
空気圧については
いろいろ話題になっているが、
以上の経験もあって、オイラはここの記述を信用している
↓ ↓ ↓
タイヤの空気圧・・・ご質問への回答です。
http://blog1.reira-sports.com/2010/03/post_886.html
ここの記述でも、日本メーカーの指定空気圧は
LI値が最大値になる空気圧を表記している、とある。
確かに、欧州で体格の良い人間がタンデムで、
しかも荷物を満載してアウトバーンをぶっ飛ばす、
なんて使い方を想定すると
LIはできるだけ高い方が望ましい。
要するに、タイヤ空気圧は
どこかにベストポイントがあるわけではなく
様々なポイントの妥協の産物として
「このあたりがいいんじゃない?」
という点があるに過ぎないと思っている。
CB1100でリヤが滑った時の経験から
F2.5R2.9はヒステリシス摩擦の点では
明らかにマイナスであり、
滑った時の過渡応答では劣るので、
この空気圧の時はヤンチャな行為は厳に慎み、
紳士的な運転をするべきである。
サーキットにおいては、
もしかしたらマルク・マルケスなら
F2.5R2.9でも上手く走ってしまうかもしれないが、
我々のような下手クソは真似しない方が良い。
ちゃんと、ヒステリシスロスがベストの
空気圧を探して走ったほうがよい。
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