今回のインディアナポリスでは、
特に予選時に多くのライダーが転倒し、
あるものは決勝を欠場、またストーナーのように
怪我を押して出場したものの、本来の実力を
発揮できずに終わったものなどがいた。
問題になっていたのは、オーバル部分ではなく、
MotoGP専用コース部分に敷設されている
「白いアスファルト」である。
ちなみに、「白いアスファルト」とは
解説の坂田和人氏の言葉をそのまま引用している。
自分の知る限り「白いアスファルト」とは
コンクリート舗装のことしか考えられない。
アスファルト舗装とは、石油の中で最も重質な
アスファルト成分を糊として使い
砂利などを固めることによって路面とする舗装である。
一方、コンクリート舗装とは、セメントを結合剤として使って
砂利などを固めて路面とした舗装である。
アスファルト成分は一見、固体に見えるが、
実は粘性が高すぎるために流動性を失った液体である。
簡単にいえば、「非常にネバネバした油」である。
そのため、アスファルト舗装は砂利と砂利をくっつけてはいるが
隙間が多く、表面は凸凹である。また、強度は低く路面の寿命は短い。
トラックなどの重量車の影響でしわが寄ったり、
暑い夏など、バイクのスタンドがめり込んだりするのも、
アスファルト路面が、単なる「ネバネバした油」で
砂利をくっつけているだけなので、非常に柔らかいのが原因である。
一方、セメントは化学的に結合した固体である。
そのため、コンクリート舗装はきわめてキメが細かく、強度も高い。
ただし、強度が高すぎるため、たわみなどに弱く
一般には鉄筋を埋め込むことで柔軟性を補っている。
コンクリート舗装は寿命は長いものの、
鉄筋を埋め込んだり、化学反応の時間が必要など
工事に時間がかかる。そのうえ、最も問題なのは
キメが細かすぎるため、逆に路面のグリップは低いことである。
一般道でも、一部のコンクリート舗装路では、
路面にギザギザがつけられているのを見ることがあるが、
これは、コンクリートのグリップの低さを補うための処置である。
(しかし、そのため、ロードノイズの増大という副作用がある)
耐久性に優れるものの、コンクリート舗装が
あまり広まっていないのは、工事に時間がかかることと
そしてグリップの低さが原因である。
日本や欧州のサーキットで、コンクリート舗装が一般的でないのは、
グリップの問題があるためだと推測する。
しかし、アメリカにおいては、
コンクリート舗装のサーキットは他にもみられ、
ナッシュビルなどにその例を見ることが出来る。
これは未確認情報だが、コンクリート舗装の場合、
タイヤラバーがのってくるとアスファルトよりも
グリップ向上が著しい、と聞いたことがある。
(単に、元のグリップが低いので、向上分が大きく感じるだけ、
という気もするが・・・)
これは、サーキットなどに用いた場合
周回ごとにグリップが異なったり、
ラインを外した場合にグリップが急激に変化するなど
危険な兆候を見せることにもなりかねない。
また、コンクリート舗装とアスファルト舗装では
タイヤの摩耗の挙動も異なり、それに対応できない場合
去年のMotoGPのように、多くのライダーが
タイヤを摩耗しきってしまうようなことも起こりうる。
世界的にはコンクリート舗装のサーキットは
非常にまれであるため、選手がその特性に慣れていない
というのも問題である。
このようなことから、特に二輪レースが行われるサーキットにおいては
コンクリート舗装を用いるべきではないと考える。
ドルナにしても、FIMにしても、またAMAにしても
このような考慮が全くなされていないことは驚きである。
インディアナポリスの舗装は
早急にアスファルト舗装に変更されるべきである。
また、公道においても、コンクリート路面に差し掛かった時は、
慎重を期し、決して無理はしないことである。
写真は以下から
http://www.crash.net/motogp/news/182966/1/nicky_hayden_in_doubt_for_brno.html
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