2013年6月11日火曜日

防錆対策あれこれ

季節は6月、全国的に梅雨のシーズン。
雨と言えば、そもそもがライダーの敵だけど、
それだけでなく、バイクもこの時期よく錆びる!

特に通勤で乗ってるCB1100は、雨でも乗るため、
ちょっと油断してるとあちこち錆が浮いてくる。

そこで、防錆対策というのはどんなものがあるか
いろいろ調べてみた。


ほとんどの金属表面は空気中の酸素と反応して
酸化物超薄膜と呼ばれる酸化皮膜に覆われている。
この酸化被膜はステンレスやチタン、アルミなどの場合
空気中の湿気と反応して不動態皮膜と呼ばれる頑丈な被膜に変化し
天然の防錆被膜を形成する。このため、これらの金属は
鉄に比べて錆や腐食が起きにくい。

しかし、鉄の場合は、この酸化被膜が被膜にならない。
何になるかというと、あの赤錆になってしまう。
しかも赤錆は、水との親和性が高く、水を呼び込むため、
錆びたところは、さらに錆の進行が進みやすくなる。

そこで、錆を除去し、鉄の表面を何か別のもので
コーティングしてやることで
水と酸素が鉄に直接触れるのを妨げてやろう、
というのが、防錆の基本戦略になる。

この点で一番簡単なのは油。簡単に被膜が作れるし、
しかも、油で赤錆をふやかして除去しやすくする効果もある。

油では持続性がないので、頻繁な手入れが必要になるが、
とはいえ、油による防錆効果を馬鹿にしてはいけない。
手軽さと副作用のなさから、こまめな注油が
防錆対策の基本になることは間違いない。

ところで、ワックスも油の一種である。マフラー用などに
耐熱ワックスも販売されており、これらはシリコンオイル、
シリコンワックスを使うなどして、耐熱性を上げているため、
高温になるエンジン、排気管にも使用可能である。

さらに油のメリットとして、後述するリン酸被膜や塗料などでは
細孔ができてしまって、水や酸素が入り込む心配があるが、
油の被膜には細孔などはないし、しかも油は水をはじく。
それゆえ、表面に油がある限りは決して錆びることがない、
というのもメリットの一つである。

注油は基本としても、もう少し本格的な防錆対策も欲しい。

その一つが、リン酸。酸の働きで赤錆を除去し
そののち、表面にリン酸被膜を形成することにより
錆の進行を遅らせようとするもの。
バイク乗りはご存じ、花咲かGとか、ラストリムーバー
がこれにあたる。

しかし、リン酸被膜は反応の過程で発生する水素が、
大気中に抜けていく際に、せっかくの被膜に
微小な穴(細孔)をあけてしまう。
おかげで、リン酸被膜は穴だらけのザル状態で
錆止めの効果はほとんどない。
そのために、リン酸類は「錆止め剤」ではなく
「錆取り剤」として販売されている。

次に、サビ転換剤と呼ばれる製品がある。
赤錆を黒錆に変換し、強固な酸化被膜を作る、
というのが売り文句だが、
実は、黒錆だけでは強固な被膜になるはずもなく、
溶液に樹脂が含まれていて、
表面を樹脂で覆ってしまう仕組みらしい。
樹脂の保護膜は、厚いほうがそれだけ遮断性は高いので
これらの製品は、上塗りすることを推奨していることが多い。

我々は、樹脂で覆ったり、塗料で塗装すれば、
簡単に防錆対策ができると思いがちだが、
実は酸素と水、特に水の浸透能力はかなりすごく、
塗膜を簡単に通り抜けてしまうという。
リン酸被膜ほどではないが、細孔というのは、一般に塗装にもあり、
特に速乾性のものほど細孔ができやすい。

したがって、薄い塗膜ではちょっと不安で
厚さがあるほど、防錆効果は高い。
聞いたところによると十分な防錆効果を持たせるには
0.25mm以上の塗膜が必要になるとのことだ。

錆変換剤に話を戻すと、樹脂被膜を作るってことは
あまり変なところに使えない。たとえば
高温になるエンジン、マフラーなどに使っても
熱で樹脂がすぐにダメになってしまう。

塗装だけでは心もとない、ということから
世の中には防錆塗料というものがある。

塗料の中に防錆剤を混ぜ込んでしまえば、
普通の塗料よりも防錆効果を上げられるはず、
というのがその原理だ。
防錆剤も働きで分類すると2種類あり、
一つはアルカリ性の塗膜を作るもの(鉛系の塗料など)
もう一つは亜鉛系塗料で、亜鉛が鉄の身代わりに酸化して
鉄の酸化を防ぐ、というもの。

防錆塗料の原理としては、
他には微細な穴が少ない塗膜にしたり、
厚塗りを可能にしたりして、
酸素と水を通りにくくするというものもある。

微細な穴を減らすには、
たとえば乾燥時間を長くとることで
穴が開いても、再度ふさがる時間的な余裕を取る、
などの方法が取られているようだが、
オイラはその筋の専門家ではないので
これ以上は突っ込まずにおく。

このように、防錆対策はいろいろあるが、
しかしどれも決定打とは言えず、
一番大事なのは、こまめに対策すること。

元々、金属というのは地球上では錆の状態で存在している。
つまり、こっちの方が本来の姿。
防錆対策というのは、金属が本来の姿に戻ろうとするのを
無理やり押しとどめる作業である。

そういう意味では、
錆との戦いはバイク乗りの定めと言える。

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