2012年7月16日月曜日

MotoGP第9戦ムジェロ:切れた糸はつながらない



もう10年以上前の事だと思うが、
ホンダの技術者が、GP500ライダーについて
「奴らは化け物だ。飛行機から降りた途端、
 まだ時差ボケも解消していないはずなのに
 もうバイクに乗って全開で走ってる。」
と、語っているのを読んだことがある。

時差ボケと言うのは人によるだろうし
慣れもあるのだとは思うが、
なんにしても、世界選手権と国内選手権の違いの一つが
「飛行機から降りた途端、バイクを全開で走らせられるか?」
だというのは間違いない。

ちなみに、自分が初めて「時差ボケ」
を感じたのは、出張でアメリカに行った時だった。
「時差ボケ」なんていうから単に眠いだけかと思ったら
かなり酷い症状に悩まされたものだ。

まあ、それはともかく、世界中から集まった
精鋭たちの中で勝っていかなければならないのだから
やはり世界選手権というのは、素人の目から見たら
まこと「常軌を逸している世界」と言わざるを得ない。

かつて、引退後に復帰したライダーはいたが、
ほとんどは単に晩年を汚しただけに終わったのも無理は無い。
「常軌を逸した世界」でやって行くには
それこそ「常軌を逸した」意志の力が必要である。


誰の話かって?もちろん、ストーナーの事である。


初戦こそ腕上がりで失ったが、2戦、3戦と連勝し
今年も盤石かと思われたケーシー・ストーナーが
突然の引退発表をしたのち、全く勝てていない。

唯一の例外は、ロレンソがバウティスタにヒットされて
1コーナーで消えてくれたアッセンでの勝利のみ。

ストーナーの不調については、
ブリジストンの「改良タイヤ」が
ホンダについては「改悪」にしかなっていないだとか、
解消しないウォブルの問題だとか
言い訳もないではない。

しかし、バイクも含めたロレンソとストーナーの差が
「185点 対 148点」ということは絶対にないはずだ。

もう辞めるよ、と、
いったん口にした人間がやって行けるほど
「常軌を逸した世界」は容易くは無い。

ストーナーがもう一度「常軌を逸した」意志の力を
振り絞れるかどうか?
正直なところ、あまり期待は出来ないと思う。

切れた糸を、もう一度つなぐのは、極めて困難なことなのだ。

写真は以下から
http://www.crash.net/motogp/news/181957/1/stoner_rues_costly_mistake_apologises_to_bautista.html

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