2013年8月2日金曜日

スポーツ医学的にライディングを考える

八耐から帰っての翌日ですが、
とあるコースにて、
実験的ライディングスクールがありました。

ライディングスクールと言っても、
全日本の選手が来てコーチする
というような内容ではありません。

そもそもライディングの世界は
「速い奴の真似をしろ」とか言われたり
「とにかく回数をこなせ」と言われたり
要するに、試行錯誤の域を出ていません。

ライディングの本についても、
本の著者が正しい乗り方をしているかは
実のところ良くわからないわけです。
(それが分かるのであれば、そもそも
 その本を読む必要がないほど上達してる
 ということが言えます。)

世界GPライダーを参考にするにしても、
たとえばマルケスの真似なんか不可能。

そもそも、彼らは基本を理解したうえで
さらにそれを自分流にアレンジしており、
そのアレンジが自分に合っているかは不明。

「回数をこなせ」というのも
初心者には当てはまるでしょうが、
すでに我々は○十年もバイクに乗っていて
いろいろ変な癖もついている。
その状態で乗っても、上達なんか見込めない。

そこで、ちゃんと理論的に振り返ろう、
スポーツ医学に詳しい人から
各々のライディングの
どこがおかしいのかチェックしてもらおう、
というのがこの会の趣旨です。

実験的、と言った通り、
この会がもう一度あるかどうかは
ほとんど期待薄ですので、
ある意味、かなり貴重な機会でした。

ライディングを振り返るのに
全開走行する必要などありません。

というか、まずはエンジンをかけずに
スタンディングで惰性走行、からスタート。

これに適しているのがApe100。
なぜって、軽量で小さなホイールのApeは
大きなバイクと比べてごまかしがきかず
ちゃんと乗ってないと、バランスすら取れないからです。

この時点で、オイラはいろいろダメ出しされました。

とりあえず、多くの人に見られる乗り方を書いておくと
へっぴり腰で、ハンドルにしがみつく人が多い。
まずは、ステップの上にちゃんと立って
ハンドルから力を抜くのがまず第一歩。

本来なら、この状態で自由に、かつコンパクトに
左右にクルクル回れないとダメなのですが、
なかなかその域までいけません。

とりあえず、安定して直進する
その次に、ゆっくりと大回りで左右に曲がる。
この辺までするのがやっとです。

この惰性走行をするだけでいろいろなことが分かります。
エンジンがかかっていると、
アクセルで姿勢制御が出来てしまう。
しかし、エンジンがないとその手が使えない。
ちゃんとした姿勢でバイクに乗り、
体だけでバイクを制御しないといけない。

この惰性走行は、嫁もやらされました。(笑)
スタンディングが出来ない、というので
座っての惰性走行ですが、一目見て、先生曰く
「シートにどっかり座っていて、
 全然ステップに荷重できてませんね。」

はい、そいつは間違いありません。
嫁の場合、ステップ荷重がどうの、という
レベルじゃありませんし・・・

さて、こうして惰性走行でいろいろ分かった時点で
次にコース走行ですが、走るのは本コースでなく、
ミニコース。そしてあくまでリーンウィズで走行。

(このコースは、本コースのほかに
 初心者用ミニコースも併設されてます。)

そもそも、全開で走ってしまうと、
自分のライディングを振り返る余裕もなくなり、
実は全く練習になってません。

これは、別のライディングスクールに参加した人から
聞いた話ですが、まず、朝イチに、
自由にサーキットを走った後、講師の先生から
「それでは質問です。1コーナーの外側の看板に
 出ていたのは、どんな広告でしたか?」
と、聞かれ、誰も答えられなかったそうです。

その先生の言うには、上達に必要なのはまず余裕。
1コーナー外側の広告まで目に入るくらいの
視野の広さと余裕を持っていないと
危険回避や、他車とのバトルだけでなく
タイムアップすら不可能、とのこと。

いや、全くその通りですね。(^o^;;)

ここでもダメ出しを受けます。

オイラの場合、前輪に荷重をかけようという意識が強く
(それ自体は悪くないのですが)その結果として、
すごく不自然なライディングポジションになっていたようです。

まずは、自然なフォームでバイクに乗る、それだけで、
「2ステップで曲がっていたのが、1ステップで
 自然にコーナーに飛び込めるようになった。」
ということなので、たかがフォーム、されどフォームです。

以前にもこのブログで触れたけれど、
よく言う「猫背でバイク乗れ」
というのは、全く嘘です。

その姿勢だと、お尻の肉でシートに座ることになり
バイクからの情報が伝わりにくいし、
体が敏捷に動いてくれない。

正解は腰骨を立て、背筋を自然に伸ばし、坐骨の上に座る。
こうすると骨でバイクからの情報を受け取れるし、
体を敏捷に動かすこともできる。

この姿勢で、まずは曲がろうとするバイクを
ライダーが妨げない。

一日走っていたら、全開走行などしていないのに
かなりの筋肉痛になりました
逆に言うと、普段から正しい筋肉の使い方ができてない、
ということになりますね。

バイクに乗ってない時から正しい姿勢で毎日過ごす。
まずはそこから!

2 件のコメント:

vyrus_empire さんのコメント...

これってあらゆるスポーツに通底する問題ですよね。有名な選手だから正しい理論で走っているなんて言い切れないわけで、かと言って誰それの理論が正しいなんて素人には分からないわけで。

すでにご覧になられているかもしれませんが、ロレンソのライディングスクールの動画が結構興味深い内容でした。

http://www.youtube.com/watch?v=PRSDxNPspxU

こういう実践的なスクールで理論立てて教えれば日本からももっと速いライダーが現れるんじゃないかと思うのは素人の浅はかさでしょうか。サッカーで日本が躍進したのも若手の育成システムがしっかりしてるからじゃないかと思うんですよね。
手軽に八の字ができる場所があるだけでも相当違うと思うんですが。

mos さんのコメント...

>vyrus_empireさん
コメントありがとうございます。

おっしゃるとおり、きちんとしたスクールがあれば・・・・
ですが、問題は理論立てて教えられるコーチの確保、
だと思います。残念ながら、それが出来る人材は
非常に少ないのが現実のように思います。

とはいえ、諦めていてはダメなので
何か良い方法を考えないといけないですね。